
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す、慢性的な皮膚の病気です。
発症には、「皮膚のバリア機能の低下」「皮膚のアレルギー性炎症」「かゆみ」という3つの要素が関係しており、これらが互いに影響し合うことで症状が現れます。かゆくて皮膚をかいてしまうと、バリア機能がさらに低下し、炎症が悪化するという“負のサイクル”に陥ってしまうことがあります。
アトピー性皮膚炎を悪化させる要因としては、汗やストレス、ハウスダスト・ダニ・カビなどのアレルゲン、化粧品や金属などの化学物質などが知られています。症状を安定させるためには、これらの悪化因子を見つけて、できるだけ避けることも大切です。
治療の基本は塗り薬です。ステロイド外用薬を中心に、症状に応じて様々な種類の塗り薬が使い分けられます。また、保湿剤によるスキンケアもとても重要です。
さらに、これまで使われてきた抗ヒスタミン薬の飲み薬に加えて、かゆみやアレルギー性炎症をより選択的に抑える新しい内服薬や注射薬も開発されており、最近ではアトピー性皮膚炎にも適応されるようになっています。これまで治りにくかった症状や強いかゆみが大きく改善されることもあり、注目されています。
近年、アトピー性皮膚炎の治療に新たな選択肢として、生物学的製剤が登場し注目されています。
生物学的製剤とは、アレルギーや炎症に関わる特定の物質(サイトカイン)を標的にして、ピンポイントでその働きを抑える薬です。従来の治療では十分な効果が得られなかった中等症〜重症の患者さんに対して、強いかゆみや皮膚炎の改善が期待できます。
現在、アトピー性皮膚炎に使われている代表的な生物学的製剤には、「デュピクセント(一般名:デュピルマブ)」があります。2週間に1回、皮下注射で使用します。病院での注射のほか、一定の条件を満たせばご自宅での自己注射も可能です。
副作用が比較的少なく、長期的に使用しやすいのが特徴ですが、保険適用には一定の条件があり、すべての方に使えるわけではありません。
当院では、通常の治療で十分な効果が得られず、日常生活に支障があるような場合に、生物学的製剤による治療をご提案しています。適応や使用に関する不安、ご希望などがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
小児のアトピー性皮膚炎は、生後まもなくから見られることが多く、かゆみをともなう湿疹が繰り返し出現する慢性的な皮膚の病気です。乳児期から学童期まで、年齢や成長に応じて症状の現れ方や対処法が変わっていきます。
お子さんの肌はまだ成長途中で、皮膚のバリア機能が未熟なため、外からの刺激にとても敏感です。乾燥しやすく、汗や衣類の摩擦などがきっかけでかゆみが悪化することもあります。
症状が強くなると、お子さんはかゆみで眠れなかったり、日中も無意識に掻いてしまうことで、肌がさらに傷つき、炎症が悪化してしまうという悪循環に陥ることがあります。
治療は、保湿によるスキンケアを基本に、症状に応じた外用薬(ステロイド、タクロリムスなど)を適切に使いながら進めていきます。かゆみが強い場合は、抗アレルギー薬の内服を併用することもあります。
当院では、成長段階に応じたやさしい治療を心がけ、保護者の方にもスキンケアや日常生活での注意点をわかりやすくお伝えしています。
「薬を塗るタイミングがわからない」「学校でどう対処したらよいか不安」といったお悩みにも丁寧に対応しますので、どんなことでもお気軽にご相談ください。
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